御書研鑚の集い 御書研鑽資料
当世念仏者無間地獄事 第4章 日本は正法実義が広まる国
【如来在世に前の四十余年には大小を説くと雖も】
仏は、法華経以前の四十余年の間に、大乗教、小乗教を説きましたが、その時には、
【説時未至〔みし〕の故に本懐を演べたまはず。】
未だ説く時期ではなかったので、本懐である法華経は述べませんでした。
【機有りと雖も時無ければ大法を説きたまはず。】
条件は整っていたのですが、時期が未だ来ていなかったので説かなかったのです。
【霊山八年の間誰か機に不〔あら〕ざるも、時来たる故に】
霊鷲山の八年間では、条件は整っていなかったのですが、時期が来た為に
【本懐を演べたまふに権機移りて実機〔じっき〕と成る。】
出世の本懐を説いたのです。これは、爾前権教によって条件が整って実経である
【法華経の流通並びに涅槃経には、】
法華経を説く時期となったのです。そういうことで、法華経の流通分と涅槃経には、
【実教を前とし権教を後とすべきの由見えたり。】
実教を前に弘め、権教を後にすべきであると述べられています。
【在世には実を隠して権を前にす、滅後には実を前として】
つまり、在世では、実教を隠して権教を前にしましたが、滅後では、実教を前にして
【権を後と為すべし。道理顕然〔けんねん〕なり。】
権教を後にすべきとの道理が明らかにされているのです。
【然りと雖も天竺国〔てんじくこく〕には正法一千年の間は外道あり。】
しかし、インドでは、正法の一千年の間は、外道のみがあり、
【一向小乗の国有り、又一向大乗の国有り、】
小乗教のみの国があり、また、大乗教のみの国があり、
【又大小兼学の国有り。】
また、大乗教と小乗教の兼学の国が、あったりしたのです。
【漢土に仏法渡りても又天竺の如し。】
中国に仏法が渡ってからも、また、インドと同様であったのです。
【日本国に於ては外道も無く小乗の機も無く】
日本においては、外道もなく、小乗教が弘まる条件もなく、
【唯大乗の機のみ有り。大乗に於ても法華よりの外の機無し。】
ただ大乗の条件のみで、大乗においても法華経以外が弘まる条件がないのです。
【但し仏法日本に渡り始めし時、暫〔しばら〕く小乗の三宗、】
ただし仏法が日本に渡り始めた時は、しばらく小乗教の三宗派と、
【権大乗の三宗を弘むと雖も桓武の御〔ぎょ〕宇〔う〕伝教大師の御時、】
権大乗の三宗派が弘まりましたが、桓武〔かんむ〕天皇の時代、伝教大師の時に、
【六宗の情を破りて天台宗と成りぬ。】
当時の奈良の六宗派は、自宗派への執着心を捨てて天台宗となったのです。
【倶舎〔くしゃ〕・成実〔じょうじつ〕・律の三宗の学者も】
倶舎〔くしゃ〕宗、成実〔じょうじつ〕宗、律〔りつ〕宗の小乗三宗派の学者も
【彼の教への如く七賢三道を経〔へ〕て見思〔けんじ〕を断じ】
小乗教に従って七賢位や三道を修行して、見惑、思惑を断じて
【二乗と成らんとは思はず。只〔ただ〕彼の宗を習って】
二乗に成ろうとは思わず、ただ小乗教の宗派を習って
【大乗の初門と為し、彼の極を】
大乗教の初門としたのです。そういうことで小乗教の究極である
【得んとは思はず。】
阿羅漢果を目的とはせず、それを得ようとは、思わなかったのです。
【権大乗の三宗を習へる者も】
法相宗、三論宗、華厳宗の権大乗の三宗派を習う学者も、成仏できる者を選別する
【五性〔しょう〕各別〔かくべつ〕等の宗義を捨てゝ一念三千・五輪等の】
五性各別などの宗義を捨てて、一念三千、地水火風空の五輪観などの
【妙観を窺〔うかが〕ふ。大小権実を知らざる在家の檀那等も】
妙観を理解しようと思い、大乗、小乗、権実の違いを知らない在家の信者なども
【一向に法華・真言の学者の教へに随って之を供養するの間、】
一様に法華、真言の学者の教えに従って、これを供養したのです。
【日本一洲は印度震旦〔しんだん〕には似ず一向純円の機なり。】
インド、中国とは、異なって、日本は、一国あげて一向に純円の弘まる条件であり、
【恐らくは霊山八年の機の如し。】
恐らくは、霊鷲山で法華経が説かれた八か年と条件が同じだったのです。
【之〔これ〕を以て之を思ふに浄土の三師は震旦】
これをもって考えるとに浄土の三師は、中国の人であり
【権大乗の機に超えざらん。】
この三師の時代は、権大乗が広まる条件のときだったのです。
【法然に於ては純円の機、純円の教、純円の国を知らず。】
しかし、法然は、日本が純円の機、純円の教、純円の国であることを知らず、
【権大乗の一分たる観経等の念仏を、】
権大乗の一分である観無量寿経などの念仏や
【権実をも弁へざる震旦の三師の釈、之を以て此の国に流布せしめ、】
権実を理解できない中国の浄土宗の三師の解釈をもって、我が国に法を流布し、
【実機〔じっき〕に権法を授け純円の国を権教の国と成し、】
実教の機の人々に権法を授け、純円の国を権教の国にしようとしたのです。
【醍醐〔だいご〕を嘗〔な〕むる者に】
これは、法華経である最高の醍醐〔だいご〕味を知った者に、権教である
【蘇味〔そみ〕を与ふるの】
第三、第四番目の生蘇〔しょうそ〕味や熟蘇〔じゅくそ〕味を与えるようなもので、
【失〔とが〕誠に甚だ多し。】
その罪は、誠に大きいのです。
【日蓮 花押】
日蓮 花押