日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


念仏者追放宣旨御教書事 第5章 宣旨篇(3)


【左弁官下す 綱所〔こうしょ〕】
(15) 左弁官下す 綱所〔こうしょ〕

【諸寺の執務人に下知して専修念仏の輩を糾断〔きゅうだん〕せしむべき事、】
必ず諸寺の執務を行う者に命じて、専修念仏の者たちを糾断させるべきこと、

【右左大臣宣奉勅。】
右の条項について、左大臣が天皇の言葉を命令します。

【専修念仏の行は諸宗衰微〔すいび〕の基〔もとい〕なり。】
専修念仏の修行は、諸宗派が衰微する大きな原因となります。

【仍って去ぬる建永〔けんえい〕二年の春、厳制五箇条の裁許を以てせる】
よって去る建永〔けんえい〕二年の春、厳禁制止の五箇条の裁断を内容とした

【官符の施行〔せぎょう〕先に畢〔おわ〕んぬ。】
太政官の公文書による命令の施行が先になされたのです。

【傾〔かたむ〕く者は進んでは憲章を恐れず、】
専修念仏に傾倒する者は、進んで法律を恐れず、

【退いては仏勅〔ぶっちょく〕を憚〔はばか〕らず、】
退いては、仏の言葉を憚〔はばか〕らず、

【或は梵宇〔ぼんう〕を占〔し〕め、或は聚洛〔じゅらく〕に交はる。】
あるいは、寺院を居場所とし、あるいは、村里や都に隠れ住んでいるのです。

【破戒の沙門党を道場に結んで偏に今按〔きんあん〕の佯〔いつわ〕りを以てす。】
破戒の僧侶は、道場に集まって、自らが勝手に考え出した偽り事を行っています。

【仏号を唱へんが為に妄〔みだ〕りに邪音を作〔な〕し、】
阿弥陀仏の名号を称〔とな〕える為に、みだりに奇声を発し、

【将〔まさ〕に蕩〔とろ〕かして人心を放逸〔ほういつ〕にせんとす。】
まさに人心をとろかせて、自分勝手に振る舞っています。

【見聞満座の処には賢善の形を現ずと雖も、】
大勢の人がいる前では、賢人や善人のように振舞っていますが、

【寂寞〔じゃくまく〕破窓〔はそう〕の夕〔ゆうべ〕には】
自分一人の誰も居ない場所では、

【流俗の睡〔ねむ〕りに異ならず。】
俗人が、だらしなく過ごしている姿と異なる事がないのです。

【是則ち発心の修善に非ず、】
これは、取りも直さず、菩提心を起こして善行を修しているのではなく、

【濫行〔らんぎょう〕の姦謀〔かんぼう〕を企つるなり。】
淫〔みだ〕らなことを企〔くわだ〕てているのです。

【豈〔あに〕仏陀の元意僧徒の所行と謂〔い〕はんや。】
それが、どうして仏の本意にかなった僧侶の振る舞いと言えるでしょうか。

【宜しく有司〔ゆうし〕に仰せて慥〔たし〕かに糾断せしむべし。】
必ず、所轄の役人に命じて、間違いなく、そのことを糾断させるべきなのです。

【若し猶違犯の者は罪科の趣一〔ひとえ〕に先符に同じ。】
もし、それでもなお違反する者については、先の公文書のとおりに処分すべきです。

【但し道心修行の人をして以て】
ただし、道心をもって修行している人を、

【仏法違越の者に濫〔らん〕ぜしむること莫〔なか〕れ。】
仏法に違反する者と混同しては、なりません。

【更に弥陀の教説を忽〔ゆるが〕せにするに非ず】
これは、阿弥陀如来の教えを疎〔おろそ〕かにしているのではなく、

【只民氏〔みんし〕の法文を全からしめんとなり。】
ただ、釈迦牟尼仏の経文を失〔うしな〕わせない為なのです。

【兼ねては又諸寺執務の人、五保〔ごほ〕監行〔けんぎょう〕の輩、】
あわせて、また諸寺の執務をする人や律令制度の村落組織を監督する者が、

【聞知して言はずんば与同罪曾〔かつ〕て寛宥〔かんゆう〕せざれ、】
それを知っていながら、報告しないならば、その共謀罪を許してはなりません。

【者〔ていれば〕宜しく承知して宣旨に依って之を行なふべし。】
そう言う理由で、よろしく承知のうえ宣旨に従って、これを執行すべきです。

【建保七年閏二月八日】
建保7年2月8日

【大史〔たいし〕小槻〔おつき〕宿禰〔すくね〕 在判】
大史〔たいし〕・小槻〔おつき〕宿禰〔すくね〕 在判

【謹んで請〔う〕く 綱所】
(16) 謹んで承〔うけたまわ〕ります。 綱所

【宣旨一通載せらるゝは諸寺の執務人に下知して】
宣旨一通に記載されている「必ず諸寺の執務者に命じて

【専修念仏の輩を糾断せしむべき事、右宣旨の状に任せ、】
専修念仏の者たちを糾断するべきとの事を右の宣旨の書状に基づき、

【諸寺に告げ触〔ふ〕るべきの状、謹んで請くる所件の如し。】
諸寺に告げ、知らせるべし」との通達、謹んで承〔うけたまわ〕りました。

【建保七年閏〔うるう〕二月二十二日之を行なふ。】
建保7年2月22日に、これを執行しました。

【頃年〔きょうねん〕以来無慚〔むざん〕の徒】
(17) 近年、恥を知らない念仏者や、

【不法の侶如々の戒行を守らず、】
法に背く破戒僧が、仏教本来の戒律や修行を守らず、

【処々の厳制を恐れず、恣〔ほしいまま〕に念仏の別宗を建て、】
たびたびの厳しい禁止命令を恐れず、自分勝手に念仏を修行する宗派を建てて、

【猥〔みだ〕りに衆僧の勤学〔ごんがく〕を謗ず。】
修行に励む僧侶をみだりに誹謗中傷しています。

【加之〔しかのみならず〕内には妄執〔もうしゅう〕を凝〔こ〕らして】
そればかりではなく内心には、妄〔みだ〕りな執着にとらわれて、

【仏意に乖〔そむ〕き、外には哀音を引いて】
仏の本意に背〔そむ〕き、外面では、哀れな声で念仏を称〔とな〕えて、

【人心を蕩〔とろ〕かす。遠近〔おんごん〕併〔しかしなが〕ら】
人々の心を惑わしており、国中、到るところで

【専修の一行に帰し、緇素〔しそ〕殆〔ほとん〕ど】
専修念仏の一行のみに執着し、僧俗は、ほとんど

【顕密の両教を褊〔さみ〕す。】
顕教と密教の二教の経文を蔑〔さげす〕んでいるのです。

【仏法の衰減〔すいげん〕而も斯〔ここ〕に由る。】
仏法の衰退の原因は、まさに、ここにあるのです。

【自由の姦悪誠に禁じても余り有り。】
この邪智による悪行は、どのように禁じても、しすぎるということはありません。

【是を以て教雅〔きょうが〕法師に於ては】
これによって専修念仏の僧侶、教雅〔きょうが〕法師に関しては、

【本源を温〔たず〕ねて遠流〔おんる〕し、】
念仏の張本人であることが判明したので流罪に処し、

【此の外同行〔どうぎょう〕の余党等は】
その他の仲間である残党については、

【慥〔たし〕かに其の行を帝土〔ていど〕の中に停廃し、】
確実に専修念仏を止めさせ、天皇の治める国土においては、禁止をし、

【悉く其の身を洛陽〔らくよう〕の外に追却〔ついきゃく〕せよ。】
ことごとく、その身柄を京都の外に追放するべきです。

【但し或は自行の為に或は化他の為に、】
ただし、自らの修行の為、あるいは、他者の指導の為に、

【至心専念如法修行の輩に於ては】
心から一心に仏を念じて、教法どおりの修行をしている者については

【制の限りに在らず。】
制止の限りではありません。

【天福二年六月晦日〔みそか〕】
天福2年6月、晦日〔みそか〕

【藤原中納言権弁 奉る】
藤原中納言権弁 奉〔たてまつ〕る

【(天福二年文暦と改む。】
(天福二年に文暦と改元しました。

【四条院の御宇、後堀河院の太子なり。】
第八十六代天皇・後堀河〔ごほりかわ〕院の皇太子である四条天皇の時代です。

【武蔵前司入道殿の御時)】
また、幕府第三代執権・北条泰時〔やすとき〕の時代です。)



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