日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


念仏無間地獄抄 第4章 念仏禁止を命じた宣旨


【加之、法然房死去の後も又重ねて山門より訴へ申すに依って、】
それだけでなく法然房が死んだ後も、また重ねて比叡山より、訴えが出たので、

【人王八十五代後堀河院の御宇嘉禄〔かろく〕三年、】
人王八十五代・後堀河〔ごほりかわ〕天皇の時代、嘉禄〔かろく〕三年、

【京都六箇所の本所より法然房が選択集并〔なら〕びに印版を責め出だして、】
京都の六箇所の荘園領主より、法然房の選択集と、その印版を押収し、

【大講堂の庭に取り上げて、三千の大衆会合し、】
叡山の大講堂の庭に取り上げ、三千の大衆が集まって、

【三世の仏恩を報じ奉るなりとて之を焼失せしめ、法然房が墓所をば】
三世の仏恩に報〔むく〕いる為として、これを焼却し、法然房の墓所を

【犬神人〔いぬじにん〕に仰せ付けて之を掘り出だして鴨河に流され畢んぬ。】
祇園神社の使用人に命じて、これを掘り出し、加茂川へ流してしまったのです。

【宣旨・院宣・関白殿下の御教書を】
天皇や太政官の命令、上皇の意向を部下が伝える文書、関白殿下の指示書を

【五畿七道に成し下されて、六十六箇国に念仏の行者一日片時も】
五畿・七道に下〔くだ〕されて、六十六か国に「念仏の行者を、一日でも、片時でも

【之を置くべからず、対馬〔つしま〕の島に追い遣〔や〕るべきの旨、】
置いてはならない。対馬の島に追い払うように」との内容が、

【諸国の国司に仰せ付けられ畢んぬ。此等の次第、】
諸国の国司を通して命じられたのです。このことは、

【両六波羅の注進状、】
京都の北方、南方の六波羅〔ろくはら〕探題〔たんだい〕の注進状、

【関東相模守の請文〔うけぶみ〕等明鏡なる者なり。】
関東・相模守の北条時房〔ときふさ〕の請文などにも、明らかなのです。

【嘉禄三年七月五日に山門に下されし宣旨〔せんじ〕に云はく、】
(1) 嘉禄3年7月5日に比叡山に下された朝廷の命令書には、次のようにあります。

【専修念仏の行は諸宗衰微の基なり。】
専修念仏の所業は、諸宗派を衰退させるもとであり、

【茲〔ここ〕に因って代々の御門〔みかど〕頻〔しき〕りに厳旨を降され、】
これによって、代々の天皇は、しばしば、厳命を下され、

【殊に禁遏〔きんあつ〕を加ふる所なり。】
とくに禁止を加えられてきました。

【而るを頃年〔けいねん〕又興行を構〔かま〕へて、山門訴へ申さしむるの間、】
ところが、近年、また念仏が盛んになり、比叡山からの訴えがあったので、

【先符〔せんぷ〕に任せて仰せ下さるゝこと先に畢んぬ。】
先に出された命令書に従って、仰せ下されたことは、先のとおりです。

【其の上且〔か〕つは仏法の陵夷〔りょうい〕を禁ぜんが為、】
その上、仏法の衰退を止める為、

【且つは衆徒の欝訴〔うつそ〕を優〔やわら〕ぐるに依って、其の根本と謂はるゝ】
または、比叡山の衆徒の訴えを和〔やわ〕らげる為に、その張本人である

【隆寛〔りゅうかん〕・成覚〔じょうかく〕・空〔くう〕阿弥陀仏等を以て】
隆寛〔りゅうかん〕、成覚〔じょうかく〕、空阿弥陀仏〔くうあみだぶつ〕などは、

【其の身を遠流に処せしむべきの由、】
その身を流罪に処すべき内容が、

【不日〔じつ〕に宣下〔せんげ〕せらるゝ所なり。余党に於ては】
まもなく、宣下されることでしょう。残りの念仏者たちについては、

【其の在所を尋ね捜〔さが〕して、帝土を追却〔ついきゃく〕すべきなり。】
その所在を捜索して、帝〔みかど〕の都から、追放すべきです。

【此の上は早く愁訴〔しゅうそ〕を慰〔やす〕んじて】
この上は、早く比叡山の衆徒の訴えをなだめ、

【蜂起を停止すべきの旨、時刻を廻〔めぐ〕らさず御下知有るべく候。】
その蜂起を停止させるべき旨、時をおかずして命令されるべきです。

【者〔ていれば〕綸言〔りんげん〕此くの如し。頼隆〔よりたか〕誠恐頓首謹言。】
天皇の仰せは、以上のとおりです。頼隆〔よりたか〕が、恐れながら申し上げます。

【七月五日酉刻】
7月5日、夕方の六時頃

【右中弁〔うちゅうべん〕頼隆奉〔うけたまわ〕る】
右中弁〔うちゅうべん〕藤原頼隆〔よりたか〕、奉〔うけたまわ〕る

【進上天台座主大僧正御房 政所〔まんどころ〕】
進上、天台座主・大僧正・御房 事務局へ

【同七月十三日山門に下さるゝ宣旨に云はく、】
同年7月13日、比叡山に下〔くだ〕された命令書には、次のようにあります。

【専修念仏興行の輩停止すべきの由、五畿七道に宣下せられ畢んぬ。】
(2) 専修念仏を行うことを禁止するべき旨、五畿七道に命令されたので、

【且〔か〕つは御存知有るべく候。】
その内容について、よく理解するべきです。

【綸言〔りんげん〕此くの如し、之を悉〔つまびらか〕にせよ。】
天皇の仰せは、以上のようであり、これを、よく承知するようにしてください。

【頼隆誠恐頓首謹言。】
藤原頼隆〔よりたか〕が、恐れながら申し上げます。

【七月十三日】
7月13日

【右中弁頼隆 奉る】
右中弁〔うちゅうべん〕藤原頼隆〔よりたか〕、奉〔うけたまわ〕る

【進上天台座主大僧正御房(政所)】
進上・天台座主・大僧正・御房(事務局)

【殿下御教書】
(3) 関白殿下・御指示書

【専修念仏の事。】
専修念仏の事、

【五畿七道に仰せて永く停止せらるべきの由、先日宣下せられ候ひ畢んぬ。】
五畿七道に命じて、永く禁止すべき旨が、先日、命令されました。

【而るを諸国尚其の聞こえ有り云云。】
しかるに諸国に、まだ、念仏を行う者がいるということです。

【宣旨の状を守って沙汰致すべきの由、地頭守護所等に】
それに対して、命令の書状を守って処置するよう、地頭、守護などに

【仰せらるべきの旨、山門訴へ申し候。御存知有るべく候。】
命じてもらいたいとの旨、比叡山の訴えがあり、この点を御存知いただきたい。

【此の旨を以て沙汰申さしめ給ふべきの由、殿下の御気色〔けしき〕候所なり。】
その旨を徹底せよとの関白殿下のおぼしめしがありました。

【仍って執達件〔くだん〕の如し。】
よって、以上のように通達するものです。

【嘉禄三年十月十日】
嘉禄3年10月10日

【参議範輔〔のりすけ〕 在判】
参議・平範輔〔のりすけ〕 在判

【武蔵守殿】
武蔵守、執権・北条泰時〔やすとき〕殿へ

【永尊〔ようそん〕竪者〔りっしゃ〕の状に云はく、】
(4) 永尊〔ようそん〕竪者〔りっしゃ〕の書状には、次のようにあります。

【此の十一日に大衆僉議〔せんぎ〕して云はく、】
この11日に大衆が評議して、

【法然房所造の選択は謗法の書なり。】
法然房・源空の作った選択〔せんちゃく〕集は、謗法の書であり、

【天下に之を止め置くべからず。】
天下に、これを放置しては、ならないということになりました。

【仍って在々所々に持する所并〔なら〕びに其の印板を大講堂に取り上げて、】
よって、色々な場所に所持されている選択集と、その印板を大講堂に取り上げて、

【三世の仏恩を報ぜんが為、之を焼失せしめ畢んぬ。又云はく、】
三世の仏恩を報じる為に、これを焼却しました。また、次のようにもあります。

【法然上人の墓所をば感神院〔かんじんいん〕の犬神人〔いぬじにん〕に】
法然上人の墓所を祇園神社の下働きの者たちに

【仰せ付けて破却せしめ畢んぬ。】
命じて破壊させました。

【嘉禄三年十月十五日、】
(5) 嘉禄3年10月15日

【隆真〔りゅうしん〕法橋〔ほうきょう〕申して云はく、】
仏頂房・隆真〔りゅうしん〕法橋〔ほうきょう〕が言うのには、

【専修念仏は亡国の本たるべき旨文理之有りと。】
専修念仏は、亡国のもとであることは、文証、理証に明らかである。

【山門より雲居寺〔うんごじ〕に送る状に云はく、邪師源空〔げんくう〕、】
(6) 比叡山から雲居寺〔うんごじ〕に送った書状には、邪師、法然坊・源空は、

【存生の間には永く罪条〔ざいじょう〕に沈み、滅後の今は且〔か〕つ】
生きている間には、永く流罪に沈み、死んだ現在では、

【死骨を刎〔は〕ねられ、其の邪類住蓮〔じゅうれん〕・安楽〔あんらく〕は】
死骨を暴〔あば〕かれ、その仲間である住蓮〔じゅうれん〕、安楽〔あんらく〕は、

【死を原野に賜ひ、成覚・薩生〔さっしょう〕は刑を遠流に蒙る。】
死刑に処せられ、成覚〔じょうかく〕、薩生〔さっしょう〕は、流罪に処せられ、

【殆ど此の現罰を以て其の後報を察すべし云云。】
この現罰の姿をもって、その死後の無間地獄の報いを察するべきです。

【嗚呼世法の方を云へば、違勅の者と成り、】
世法の上から見れば、哀れなことに朝廷の命令に背く者となり、

【帝王の勅勘〔ちょっかん〕を蒙り、今に御赦免〔しゃめん〕の天気之無し。】
帝〔みかど〕の罪を蒙〔こうむ〕り、今も許される状況では、ありません。

【心有る臣下万民誰人か彼の宗に於て布施供養を展〔の〕ぶべきや。】
心ある臣下、万民は、誰か彼の宗派に布施、供養をするでしょうか。

【仏法の方を云はゞ、正法誹謗の罪人たり、無間地獄の業類なり。】
仏法の上から言えば、誹謗正法の罪人であり、無間地獄の業を持つ人々なのです。

【何れの輩か念仏門に於て恭敬〔くぎょう〕礼拝を致すべきや。】
どのような人々が、この念仏門を敬〔うやま〕い、拝〔おが〕むことでしょうか。

【庶〔こい〕幾〔ねがわ〕くは末代今の浄土宗、仏在世の祖師舎利弗・】
願わくば、末代、今の浄土宗の者たちは、仏の在世の祖師である舎利弗、

【阿難等の如く浄土宗を抛〔なげう〕ちて法華経を持ち、】
阿難尊者などのように浄土宗を捨て去って、正法たる法華経を持〔たも〕ち、

【菩提の素懐〔そかい〕を遂ぐべき者か。】
一生成仏の願いを遂〔と〕げるべきでは、ないでしょうか。

日蓮 花押
日蓮 花押



ページのトップへ戻る