日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


念仏者追放宣旨御教書事 第2章 奏状篇


【奏状篇(詮を取りて之を注す、委しくは広本に在り。)】
奏状〔そうじょう〕篇(要点を取ってこれを記す。詳しくは、広本にあり。)

【南都〔なんと〕の奏状〔そうじょう〕に云はく、】
奈良・興福寺の天皇に提出した文書には、次のように述べられています。

【一 謗人〔ぼうにん〕謗法〔ほうぼう〕の事】
(1) 一、人を謗〔そし〕り、法を謗〔そし〕る事

【右源空〔げんくう〕顕密の諸宗を軽んずること】
右の条項についていえば、法然房・源空は、顕教と密教の諸宗派を

【土の如く沙〔いさご〕の如く、】
土や砂のように軽んじ、

【智行の高位を蔑〔あなず〕ること蟻〔あり〕の如く螻〔けら〕の如し。】
智慧と修行を備えた高徳の僧侶を虫けらのように蔑〔ないがし〕ろにしています。

【常に自讃して曰く、広く一代聖教を見て知れるは我なり。】
そして、常に自讃して「広く釈尊一代の聖教を見て知っているのは、私だけである。

【能〔よ〕く八宗の精微〔せいび〕を解〔げ〕する者は我なり。】
よく八宗派の微細な点まで詳しく理解している者は、私だけである。

【我諸行を捨つ。】
その私が諸宗派の修行を捨てるのである。

【況んや余人に於てをやと。】
ましてや、他の人にあっては、なおさらそうすべきである」と述べているのです。

【愚癡〔ぐち〕の道俗之を仰ぐこと仏の如く、】
愚かな僧や信者が法然房・源空を仰ぐ姿は、まるで仏に対するようであり、

【弟子の偏執〔へんしゅう〕遙かに其の師に超え、】
その弟子たちの偏〔かたよ〕った執着は、その師を遥〔はる〕かに超〔こ〕え、

【檀那の邪見弥〔いよいよ〕本説に倍せり。】
信者の邪悪な思いは、もとの説かれた教えよりも、ますます増大し、

【一天四海漸〔ようや〕く以て遍〔あまね〕し。】
世の中に次第に広まって根を降ろしているのです。

【事の奇特〔きどく〕を聞くに驚かずんばあるべからず。】
その人々の言っている事の奇妙さを聞くと驚かずにはいられません。

【其の中〔うち〕殊〔こと〕に法華の修行を以て】
その中でも、特に法華の修行を

【専修の讐敵〔しゅうてき〕と為す。】
最大の専修〔せんじゅ〕念仏の宿敵としており、

【或は此の経を読む者は皆地獄に堕すと云ひ、】
「この経を読む者は、皆、地獄に堕ちる」と言い張り、

【或は其の行を修する者は永く生死に留まると云ひ、】
あるいは「その修行を行う者は、永く生死の苦しみに留まる」と言い、

【或は僅〔わず〕かに仏道の結縁〔けちえん〕を許し、】
あるいは、僅〔わず〕かに仏道への縁〔えん〕だけはあると認め、

【或は都〔すべ〕て浄土の正因を嫌ふ。】
あるいは、すべての浄土への往生の正しい因を妨げると否定しているのです。

【然る間本〔もと〕八軸十軸の文を誦〔じゅ〕し、】
それ故に法華経八巻と開経、結経を含めた十巻の文を、

【千部万部の功を積める者も永く以て廃退し】
千部、万部と読誦して功徳を積んできた者でさえ、それを止めてしまい、

【剰〔あまつさ〕へ前非を悔〔く〕ひ、】
その上、それまでの修行が無駄だったと悔〔く〕いているほどなのです。

【捨つる所の本行の宿習〔しゅくじゅう〕実に深く】
法華の修行を捨てたところで、その悪業の宿命は、実に深く、

【企つる所の念行の薫習〔くんじゅう〕未だ積まず。】
行なおうとしているところの念仏の善業の習得は、未だ積んでいないとして、

【中途に天を仰いで歎息〔たんそく〕する者多し。】
途中で天を仰いで、ため息をつく者が多いのです。

【此の外般若・華厳の帰依、真言・止観の結縁〔けちえん〕、十の八九】
その他、般若、華厳、真言、天台の諸宗派に関連した者は、十人のうち八、九人は、

【皆棄置〔きち〕す。(之を略す。)】
みんなでそれを棄て去ってしまっているのです。(以下は、これを略します。)

【一 霊神を蔑如〔べつじょ〕する事】
一、霊神を蔑〔ないがし〕ろにする事

【右我が朝〔ちょう〕は本是〔これ〕神国なり。】
右の条項についていえば、我が国は、もともと神の国なのです。

【百王彼の苗裔〔びょうえい〕を承〔う〕け四海其の加護を仰ぐ。】
百代の天皇は、神の血筋を受け継いで、世の中は、その加護を受けています。

【而るに専修の輩永く神明を別〔わきま〕へず、】
ところが、専修念仏の者たちは、その天神や地祇〔ちぎ〕の意味を理解せず、

【権化〔ごんげ〕実類〔じつるい〕を】
仏、菩薩の権現〔ごんげん〕か真実の姿のままに現れた実類〔じつるい〕かを

【論ぜず、宗廟〔そうびょう〕祖社〔そしゃ〕を恐れず、】
論じることもなく、天皇の祖先の霊を祀〔まつ〕った社〔やしろ〕を否定し、

【若し神明を憑〔たの〕まば魔界に堕すと云云。】
もし神を信じるならば、魔の境界に堕ちると言っているのです。

【実類の鬼神に於ては置いて論ぜざるか。】
実類の鬼神については、それを置いて論じないとしても、

【権化の垂迹に至っては既に是れ大聖なり。】
仏、菩薩の権化の垂迹についていえば、まぎれもなく、これは、偉大な聖人であり、

【上代の高僧皆以て帰伏す。】
過去の高僧は、みな、これに帰伏したのです。

【行教〔ぎょうきょう〕和尚】
平安時代の大安寺の僧侶、行教和尚〔ぎょうきょう・かしょう〕が

【宇佐宮〔うさのみや〕に参るに、釈迦三尊の影〔かげ〕月の如くに顕はれ、】
宇佐神宮に参詣したときは、釈迦三尊の姿が月のように輝いて顕われ、

【仲算〔ちゅうざん〕大徳熊野山に詣るに、】
平安中期の法相宗の僧、仲算〔ちゅうざん〕大徳が熊野山の神社に詣でたときには、

【飛滝〔ひろう〕千仭〔じん〕の水簾〔すだれ〕の如くにして巻く。】
那智の滝の水が簾〔すだれ〕のように巻き上がり、観音菩薩が現れたのです。

【凡そ行基・】
おおよそのところ、奈良・薬師寺の僧侶・行基〔ぎょうき〕、

【護命〔ごみょう〕・増利〔ぞうり〕・】
法相宗の僧侶・護命〔ごみょう〕僧都、大和・興福寺の学僧・増利〔ぞうり〕、

【聖宝〔しょうほう〕・】
醍醐寺の真言宗・小野流の祖・聖宝〔しょうほう〕、日本・真言宗の開祖・

【空海・最澄・円珍等は】
空海、日本・天台宗の開祖・最澄、天台宗・寺門派の祖・円珍などは、

【皆神社に於て新たに霊異を感ず。】
皆、神社で不思議な現象を体験しています。

【是くの若〔ごと〕きは源空に及ばざるの人か。】
このような人々は、法然房・源空に及ばない人々なのでしょうか。

【又魔界に堕つべきの類か。(之を略す。)】
また魔界に堕ちる人々なのでしょうか。(以下は、これを略します。)

【山門の奏状に云はく、】
延暦〔えんりゃく〕寺の天皇に提出した文書には、次のように述べられています。

【一 一向専修の党類神明に向背〔こうはい〕する不当の事】
(2) 一、一向〔いっこう〕専修念仏の一党が神に背くのは不当であるという事

【右我が朝は神国なり。】
右の条項についていえば、我が国は、もともと神の国なのです。

【神道を敬ふを以て国の勤〔つと〕めと為す。】
神道〔しんとう〕を敬〔うやま〕うことを、国の勤〔つと〕めとしています。

【謹んで百神の本を討〔たず〕ぬるに諸仏の迹に非ざること無し。】
謹んで神々の本源を尋ねてみると諸仏の垂迹の姿でないものはありません。

【所謂伊勢太神宮・八幡・加茂・】
いわゆる三重県伊勢の伊勢大神宮、鎌倉市若宮の八幡神社、京都市北区の加茂神社、

【日吉〔ひえ〕・春日〔かすが〕等は】
滋賀県大津の日吉〔ひえ〕神社、奈良市春日野の春日〔かすが〕大社の祭神は、

【皆是釈迦・薬師・弥陀・観音等の示現なり。】
すべて釈迦牟尼仏、薬師仏、阿弥陀仏、観音菩薩などが現れたものなのです。

【各宿習の地を卜〔ぼく〕しめ】
それぞれが、前世からの宿命によって定まった地を住まいとし、

【専ら有縁の儀を調ふ。】
もっぱら関係のある場所において使命を果たし、

【乃至其の内証に随ひて彼の法施を資〔たす〕け、】
または、その真実の姿によって、本地の仏の弘教を助けているのです。

【念誦読経神に依って事異なり。世を挙げて信を取り、】
暗唱や読経などのやり方は、神によって異なりますが、世を挙げて信じており、

【人毎に益〔やく〕を被〔こうむ〕る。而るに今専修の徒、】
人は、みな利益を受けているのです。ところが今、専修念仏の者たちは、

【事を念仏に寄せて永く神明を敬ふこと無し。既に国の礼を失ひ】
念仏のみを重んじて、永く神を敬うことがなく、既に国の礼を失〔うしな〕い、

【仍〔なお〕神を無〔さみ〕するの咎〔とが〕あり。】
それに加えて神を蔑〔ないがし〕ろにする罪があるのです。

【当に知るべし、有勢〔うせい〕の神祇〔じんぎ〕定めて降伏の】
勢力のある天神、地祇〔ちぎ〕は、必ずや、これらの者を懲〔こ〕らしめようと

【眸〔まなじり〕を回らして睨〔にら〕みたまはん。(之を略す。)】
目で睨〔にら〕んでいることを知るべきです。(以下は、これを略します。)

【一 一向専修和漢の例快〔こころよ〕からざる事】
一、一向専修念仏は、日本、中国の例からみて問題である事

【右慈覚大師の】
右の条項についていえば、比叡山・延暦寺、第三代座主・慈覚〔じかく〕大師の

【入唐巡礼記〔にっとう・じゅんれいき〕を按〔あん〕ずるに云はく】
入唐求法巡礼〔にっとう・ぐほう・じゅんれい〕行記、四巻を調べてみると

【「唐の武宗〔ぶそう〕皇帝の会昌〔かいしょう〕元年、】
「唐の第十五代・武宗〔ぶそう〕皇帝は、会昌〔かいしょう〕元年に、

【章敬〔しょうきょう〕寺の鏡霜〔きょうそう〕法師に勅令して、】
長安の通化門にあった章敬〔しょうきょう〕寺の鏡霜〔きょうそう〕法師に命じて、

【諸宗に於て弥陀念仏の教を伝へ、】
諸宗派に阿弥陀経の念仏の教えを伝えさせ、

【寺毎に三日巡輪〔じゅんりん〕して絶えず。】
寺ごとに三日づつ巡回して、それが絶えることがなかった。

【同じく二年、回鶻〔かいこつ〕国の軍兵等唐の界〔さかい〕を侵す。】
同二年に、回鶻〔かいこつ〕国の軍兵〔ぐんぴょう〕などが唐に侵入して来た。

【同じく三年、河北〔かほく〕の節度使忽〔たちま〕ち乱を起こす。】
同三年には、黄河の北方、河北の国境警備の司令官が突然、反乱を起こした。

【其の後太蕃〔だいばん〕国更に命を拒む。】
その後、太蕃〔だいばん〕国が重ねて命令を拒〔こば〕み、

【回鶻国重ねて地を奪ひぬ。】
回鶻〔かいこつ〕国は、再び唐の領地を奪ったのである。

【凡そ兵乱秦項〔しんこう〕の代に同じく】
この兵乱は、秦の後、漢の沛公と楚の項羽が八年にわたり争った時代と同様で、

【災火邑里〔ゆうり〕の際に起こる。】
その災禍は、人々が暮らす多くの集落にまで及んだのである。

【何に況んや武宗大いに仏法を破し多く寺塔を滅す。】
まして、武宗皇帝は、仏法を禁止し、多くの寺塔を破壊し、

【撥乱〔はつらん〕すること能〔あた〕はずして遂に以て事有り」】
ついに、この乱を治めることができずに滅びてしまった」と書いてあるのです。

【(已上取意)。】
(以上は、入唐〔にっとう〕求法巡礼行記に書いてある概要です。)

【是則ち恣〔ほしいまま〕に浄土の一門を信じて】
これらは、要するに、自分勝手に浄土の教えを信じて

【護国の諸教を】
護国の三部経である法華経、仁王般若経、金光明最勝王経を

【仰がざるに依ってなり。而るに吾が朝】
敬〔うやま〕わなかったことによるのです。しかるに我が国では、

【一向専修を弘通してより以来〔このかた〕国衰微〔すいび〕に属し、】
一向専修念仏が弘まって以来、国は、衰退し、

【俗多く艱難〔かんなん〕す。(已上之を略す。)】
多くの人々が苦しみに喘いでいるのです。(以上、これを略します。)

【又云はく、音の哀楽〔あいらく〕を以て国の盛衰を知る。】
また、音によって国の衰微〔すいび〕を知ることができるのです。

【詩の序に云はく「治世〔ちせい〕の音〔おん〕は安んじて以て楽しむ。】
諸経の序には「よく治まった世の中の音は、穏やかで楽しさに溢れており、

【其の政和〔やわ〕らげばなり。】
その訳は、その政治が道理と調和しているからなのである。

【乱世の音は怨〔うら〕んで以て怒る、】
乱世の音は、怨〔うら〕み怒〔いか〕りを含んでおり、

【其の政乖〔そむ〕けばなり。】
それは、その政治に、みんなが背いているからなのである。

【亡国〔ぼうこく〕の音は哀〔かな〕しんで以て思ふ。】
亡びる国の音は、哀しみに溢れており、暗く深刻な嘆きに沈んでいるのである。

【其の民困〔くる〕しめばなり」云云。】
そして、それは、その民衆が苦しんでいるからなのである」と書かれています。

【近代念仏の曲を聞くに、理世撫民〔ぶみん〕の】
近頃の念仏の調べを聞いてみると、それは、世を治め民を安〔やす〕んずる

【音に背き已に哀慟〔あいどう〕の響きを成す。】
音ではなく、悲しく嘆きの響きをなしています。

【是亡国の音なるべし】
これは、亡国の音というべきです。

【(是四)。(已上奏状)。】
(是四)。(以上が天皇に提出した文書の内容です。)

【山門の奏状詮を取って此くの如し。】
延暦寺の天皇に提出した文書の要点を取ると以上のとおりです。

【又大和荘〔しょう〕の法印】
また、比叡山のふもと坂本にある大和の荘に居た天台宗の最高位の僧、

【俊範〔しゅんぱん〕・宝地房の法印宗源〔そうげん〕・】
俊範〔しゅんぱん〕や宝地房の弟子、天台宗の最高位の僧である宗源〔そうげん〕、

【同坊の永尊〔ようそん〕竪者〔りっしゃ〕】
同坊の法論に於ける返答する役目の永尊〔ようそん〕竪者〔りっしゃ〕

【(後に僧都と云ふ並びに題者なり)等、】
(後に僧都の位になったといいます。また、法論の判定者となった)などが、

【源空が門徒を対治〔たいじ〕せんが為に各々子細を述ぶ。】
法然房・源空の門下を対治する為に各々が、その子細を述べています。

【其の文広本に在り。又諸宗の明徳面々に書を作りて】
その文章は、広く多くの書籍にあります。また諸宗の高僧がそれぞれに書籍を作って

【選択集〔せんちゃくしゅう〕を破し】
法然房・源空の代表的著作の選択〔せんちゃく〕本願念仏集を破折し、

【専修を対治す。書籍〔しょじゃく〕世に伝ふ。】
専修念仏を批判しました。これらの書籍も伝えられています。



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