日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


念仏者追放宣旨御教書事 第6章 山門の下知状・申状


【祇園〔ぎおん〕の執行に仰せ付けらるゝ山門の下知〔げち〕状】
(18) 祇園〔ぎおん〕社の執行に仰せつけられた比叡山、延暦寺からの指導書。

【大衆の僉議〔せんぎ〕に云はく、】
多くの者が集まった評議において

【専修念仏者天下に繁昌〔はんじょう〕す。】
「専修念仏の者たちが、世の中に勢力を伸ばしており、

【是則ち近年山門無沙汰の致す所なり。】
これは、取りも直さず、近年、延暦寺が放置しておいた結果である。

【件〔くだん〕の族は八宗仏法の怨敵なり、円頓行者の順魔〔じゅんま〕なり。】
上記の念仏者は、八宗派の仏法の怨敵であり、法華経の行者の内なる魔なのである。

【先に京都往返〔おうへん〕の類、在家称名〔しょうみょう〕の所に於ては、】
先ず京都を行き来する連中や在家で念仏を称〔とな〕える所は、

【例に任せ犬神人〔いぬじにん〕に仰せて】
先例に従って、八坂神社の下働きの者に命じて、

【宜しく停止せしむべし云云、】
必ず止めさせるべきである」とされました。

【者〔ていれば〕大衆僉議の旨斯くの如し。】
そう言う理由で、多くの者が集まった評議の結果は、以上のとおりです。

【早く先例に任せ、犬神人等に仰せ含めて】
早急に先例に従って、八坂神社の下働きの者などに言い含めて、

【専修念仏者を停止せしめ給ふべし云云。恐々謹言。】
専修念仏者に念仏を止めさせるべきです。恐れながら謹んで申し上げます。

【延応二年五月十四日 】
延応2年5月14日 

【公文〔くもん〕勾当〔こうとう〕審賢〔しんけん〕】
公文書担当である延暦寺の僧侶・審賢〔しんけん〕

【四条院の御宇武蔵前司殿の御時】
(四条天皇の時代であり、北条泰時〔やすとき〕殿が執権の時代です。)

【謹上 祇園の執行法眼御房】
(19) 謹上 祇園社の執行である法眼和尚〔ほうげん・かしょう〕の位の御房

【逐〔お〕って申す。去ぬる夜大衆僉議〔せんぎ〕して先づ此の異名に於て】
追伸。先日の夜、多くの者が集まって評議し、先ず専修念仏について

【殊に犬神人〔いぬじにん〕に付けて之を責むべきの由仰せ含めぬ。】
特に八坂神社の下働きの者に命じて、責めるべきであるということを確認しました。

【仍って実名〔じつみょう〕之を獻ず。】
よって実名を提出します。

【専修念仏張本〔ちょうほん〕の事、唯仏〔ゆいぶつ〕・鏡仏〔きょうぶつ〕・】
専修念仏の張本人については、唯仏〔ゆいぶつ〕、鏡仏〔きょうぶつ〕、

【智願〔ちがん〕・定真〔じょうしん〕・円真・正〔しょう〕阿弥陀仏・】
智願〔ちがん〕、定真〔じょうしん〕、円真〔えんしん〕、正〔しょう〕阿弥陀仏、

【名〔みょう〕阿弥陀仏・善慧〔ぜんえ〕・道弁、】
名〔みょう〕阿弥陀仏、善慧〔ぜんえ〕、道弁〔どうべん〕、これらの者が

【真如堂狼藉〔ろうぜき〕の張本なり已上。】
京都市の天台宗寺院、真正極楽寺の真如堂での狼藉〔ろうぜき〕の張本人です。

【唐橋〔からはし〕】
平安京の東西に走っている九条坊門小路〔くじょうのぼうもんのこうじ〕、

【油小路〔あぶらのこうじ〕】
南北の通りの油小路〔あぶらのこうじ〕、

【並びに八条大御堂〔おおみどう〕六波羅の総門の向かひの堂已上。】
ならびに八条大御堂〔おおみどう〕、六波羅蜜寺の総門の向いの堂、以上が、

【当時興行の所なり。】
専修念仏が集まっていた場所です。

【延暦寺 別院雲居〔うんご〕寺】
延暦寺別院、京都市の天台宗寺院、雲居〔うんご〕寺

【早く一向専修の悪行を禁断すべき事】
(20) 早急に一向専修の悪行を禁止して処断すべき事。

【右頃年〔きょうねん〕以来】
右の条頃については、近年、

【愚蒙〔ぐもう〕の結党姦宄〔かんき〕の会衆〔えしゅ〕を名づけて専修と曰ひ】
愚かで道理に暗い者が徒党を為し、悪賢い邪智の者たちが集まって、専修念仏と称し

【闐閭〔てんりょ〕に旁〔あまね〕し、】
都会にも田舎にも、勢力を伸ばしています。

【心に一分の慧解無く、口に衆罪の悪言を吐き、】
僅〔わず〕かに道理を求める心も無く、口に多くの罪業となる悪口を吐き、

【言を一念十声〔しょう〕の】
念仏を一遍念じ、十遍を称〔とな〕える事で

【悲願に寄せて、】
阿弥陀仏の本願によって、極楽往生できるなどと言って、

【敢へて三毒五蓋〔がい〕の重悪を】
あえて貧・瞋・癡〔とん・じん・ち〕の三毒、五つの煩悩である悪業さえも、

【憚〔はばか〕らず。】
一向に恐れ慎〔つつし〕まず、

【盲瞑〔もうみょう〕の輩是非を弁へず】
このような道理が分からない念仏者が、是も非も弁〔わきま〕えずに、

【唯情に順ずるを以て多く愚誨〔ぐかい〕に信伏す。】
ただ、周りの雰囲気によって、この愚かな教えに信伏しているのです。

【持戒修善〔しゅぜん〕の人を笑ふて】
そして戒律を持〔たも〕ち、善行を修している人を笑って、

【之を雑行〔ぞうぎょう〕と号し、】
その修行を雑行〔ぞうぎょう〕と名付け、法華経、仁王般若経、

【鎮国護王の教を謗りて之を魔業と称す。】
金光明最勝王経の教法を謗〔そし〕って、その行為を魔の仕業としているのです。

【諸善を擯棄〔ひんき〕し、衆悪を選択し、罪を山岳に積み、】
善行を捨てて、悪行を選び取り、悪業を山のように積み、

【報いを泥梨〔ないり〕に招く。】
報いとして地獄の苦を招いているのです。

【毒気深く入って禁じても改むること無く、】
毒気が精神の奥深く入っている為、禁じても改めることがなく、

【偏に欲楽を嗜〔たしな〕んで自ら止むこと能〔あた〕はず。】
ひたすら欲望や悦楽を好んで、自ら止めることができないのです。

【猶蒼蠅〔そうよう〕の唾の為に粘〔ねや〕さるゝが如く、】
それは、蒼蝿〔あおばえ〕の唾〔つばき〕に捕われ逃れられないようなものであり、

【何ぞ狂狗〔きょうく〕の雷を逐〔お〕ふて走るに異ならん。】
狂った犬が雷を追って走るのと、なんら異なるところがありません。

【恣〔ほしいまま〕に三寸の舌を振るひて衆生の眼目を抜き、】
自分勝手に三寸の舌を振るって、衆生の成仏に必要な眼目を抜き取り、

【五尺の身を養はんが為に諸仏の肝心を滅す。】
自らの五尺の身を養う為に、諸仏の肝心である成仏の教法を滅して、

【併〔しか〕しながら只仏法の怨魔〔おんま〕たり、】
まさに仏法の怨敵、天魔となっており、

【専ら緇門〔しもん〕の妖怪と謂ふべし。】
専ら仏門の妖怪とも言うべき存在なのです。

【是を以て邪師存生の昔は永く罪条に沈み、】
これによって、邪師、法然房・源空は、生存中は、永く罪に処せられ、

【滅後の今は亦屍骨〔しこつ〕を刎〔は〕ねらる。】
滅後の今は、また屍〔しかばね〕を暴〔あば〕かれたのです。

【其の徒住蓮と安楽とは死を原野に賜ひ、】
また、その門下の住蓮と安楽は、原野で死刑に処せられ、

【成覚と薩生とは刑を遠流に蒙りぬ。】
成覚房・幸西と薩生〔さっしょう〕は、流罪の刑を受けたのです。

【此の現罰を以て其の後報を察すべし。】
この現世の罰によって、後世の無間地獄の報いを察するべきです。

【方〔まさ〕に今且〔か〕つは釈尊の遺法を護らんが為、】
まさに今、釈迦牟尼仏の遺〔のこ〕された教法を護る為にも、

【且つは衆生の塗炭〔とたん〕を救はんが為に、宜しく諸国の末寺・荘園・】
衆生の塗炭の苦悩を救う為にも、必ず諸国の末寺、荘園、

【神人〔じにん〕・寄人〔よりうど〕等に仰せて重ねて彼の邪法を禁断すべし。】
神職、人々などに命じて、重ねて念仏の邪法を禁止すべきです。

【縦〔たと〕ひ片時と雖も彼の凶類を寄宿せしむべからず。】
たとえ片時であっても、念仏の凶悪な者たちを留め置いてはなりません。

【縦ひ一言と雖も其の邪説を聴受すべからず。】
たとえ一言であっても、その邪説を聴聞してはなりません。

【若し又山門所部の内に専修興行の輩有らば】
もし、また延暦寺の管轄内に専修念仏を行う者たちがいたならば、

【永く重科に処して寛宥〔かんゆう〕有ること勿〔なか〕れ、】
永く重科に処して、それを許してはなりません。

【者〔ていれば〕三千衆徒の僉議に依って仰〔おほ〕する所件〔くだん〕の如し。】
そう言う理由で、延暦寺三千人の衆徒の評議に従って、以上のとおり通達します。

【延応二年】
延応〔えんおう〕2年

【山門申状】
(21) 比叡山・延暦寺の申し状

【近来二つの妖怪有り、人の耳目を驚かす。】
近年、二つの妖怪がおり、人の耳目を驚かしています。

【所謂達磨〔だるま〕の邪法と念仏の哀音となり】
それは、達磨〔だるま〕の邪法と法然房・源空の念仏の哀音です。

【(略)顕密の法門に属せず、王臣の祈請を致さず。】
顕教と密教の二教の法門に属さず、国家鎮護〔ちんご〕の祈りもせず、

【誠に端拱〔たんきょう〕にして世を蔑〔あなず〕り、暗証にして人を軽んず。】
何もしないで世を侮〔あなず〕り、証得もしていないのに人を軽んじています。

【小生の浅識〔せんしき〕を崇めて見性〔けんしょう〕成仏の仁と為し、】
小僧の浅い知識を崇〔あが〕めて、心に仏性がある見性成仏の人であるとし、

【耆年〔きねん〕の宿老〔しゅくろう〕を笑ふて】
長年、経験を積んできた人々を嘲笑し、

【螻蟻〔ろうぎ〕蚊虻〔もんもう〕の類に擬す。】
虫けらになぞらえて、軽蔑しているのです。

【論談を致さゞれば才の長短を表はさず、】
論議をしないので才能が優れているのか劣っているのかさえ、はっきりせず、

【決択に交はらざれば智の賢愚を測らず、】
宗教の判断の場に交わらないので、智慧が賢いのか愚かなのかも分からないのです。

【唯牆壁〔しょうへき〕に向かふて独り道を得たりと謂ひ、】
ただ、壁に向かって、独り仏道を得たと言い、

【三衣〔さんね〕纔〔わず〕かに紆〔まと〕ひ七慢専ら盛んなり。】
僧が着る三依を身につけているだけで、七種の慢心が非常に強盛であり、

【長く舒巻〔じょけん〕を抛〔なげう〕つ。】
経巻を紐解くことさえしません。

【附仏法の外道吾が朝に既に出現す。】
仏法を盗み入れた外道が、我が国に出現したのと同じなのです。

【妖怪の至り慎まずんばあるべからず。】
妖怪の極みであり、気をつけなければなりません。

【何ぞ強〔あなが〕ちに亡国流浪の僧を撰んで】
どうして、理由もなく亡国の流浪の僧侶を選んで

【伽藍伝持の主と為さんや。】
仏教の堂宇を継承する主〔あるじ〕にしてよいものでしょうか。

【御式目に云はく、右大将家以後代々の将軍】
御成敗式目には、鎌倉幕府、初代将軍・源頼朝〔よりとも〕以後、代々の将軍と

【並びに二位殿の御時に於ての一向御沙汰を改むること無きか。】
北条政子殿の時代のすべての決定を改めてはならないとあり、

【追加の状に云はく、嘉禄元年より仁治〔にんじ〕に至るまで御成敗の事、】
追加の条には、嘉禄元年から仁治〔にんじ〕に至るまでの決定事項については、

【正嘉二年十二月十日評定〔ひょうじょう〕、】
正嘉2年12月10日の評議〔ひょうじょう〕において、

【右自今〔じこん〕以後に於ては三代の将軍】
右の条項について、今より以後にあっては、三代の源氏の将軍と

【並びに二位家の御成敗に準じて御沙汰を改むるに及ばずと云云。】
北条家の決定事項に準じて、その決定を改めては、ならないとあります。

【念仏停廃の事、宣旨御教書の趣、】
念仏を止めさせることについての天皇の言葉や朝廷から出された文書、

【南都北嶺の状粗〔ほぼ〕此くの如し。】
奈良・興福寺と比叡山・延暦寺の書状は、おおよそ以上のとおりです。

【日蓮尩弱〔おうじゃく〕たりと雖も勅宣並びに御下知の旨を守りて、】
日蓮は、力なき身では、ありますが、天皇の命令書や指示の内容を守って、

【偏に南北明哲の賢懐を述ぶ。】
ひとえに奈良と比叡山の聡明な人々が、考慮の末に命令された内容を述べました。

【猶此の義を棄置せらるゝに非ずんば】
そこで、この義を棄てて訂正されるのではないならば、

【綸言〔りんげん〕徳政を故〔はか〕らるべきか、】
天皇の言葉で、もう一度、正しい政治を行われるべきでしょう。

【将〔はた〕御下知を仰せらるゝべきか。】
また、もう一度、念仏を禁止する命令を下されるべきでしょう。

【称名念仏の行者又賞翫〔しょうがん〕せらると雖も】
仮に称名〔しょうみょう〕念仏の行者が賞賛されているとしても、

【既に違勅の者なり。】
法然房・源空の称名念仏の者たちは、既に天皇の命令に違反している者たちであり、

【関東の御勘気未だ免許をも蒙らず。】
鎌倉幕府の禁止の命令も、末だ許されているわけではありません。

【何ぞ恣〔ほしいまま〕に関東の近住を企てんや。】
それなのに、どうして勝手に関東の近くに住むことが出来るのでしょうか。

【就中〔なかんずく〕武蔵前司殿の御下知に至りては、】
とりわけ第三代執権・北条泰時殿の御命令にいたっては、

【三代の将軍並びに二位家の御沙汰に準じて】
三代の将軍と北条家の決定事項に従い、

【御沙汰を改むること有るべからずと云云。】
その決定を改めることが、あってはならないというものでした。

【然るに今念仏者何の威勢に依ってか】
ところが今、念仏者は、何の威勢によってか、

【宣旨に背くのみに非ず、御下知を軽蔑して】
この命令に従わないだけでなく、この命令を軽蔑し、

【重ねて称名念仏の専修を結構せん。】
蔑〔ないがし〕ろにして重ねて称名念仏を弘めることを企んでいます。

【人に依って事異なりと云ふ、此の謂〔いわ〕れ在るか。】
人によって同じ命令なのに対応が異なるということが許されるでしょうか。

【何ぞ恣に華夷〔けい〕縦横の経回を致さんや。】
どうして違法の念仏者が、自由に動きまわることができるのでしょうか。

【勘文篇】
勘文篇

【念仏者追放宣旨御教書の事】
念仏者追放宣旨御教書の事



ページのトップへ戻る