御書研鑚の集い 御書研鑽資料
富士一跡門徒存知事 第四章 奏聞状の事
【奏聞状〔そうもんじょう〕の事。】
一、幕府に奏上した書状のこと。
【一、先師聖人文永五年の申状〔もうしじょう〕一通。】
一、先師、日蓮大聖人の文永五年の諌暁〔かんぎょう〕の書状が一通。
【一、同八年の申状一通。】
一、日蓮大聖人の文永八年の諌暁〔かんぎょう〕の書状が一通。
【一、日興其の年より申状一通。】
一、日興が大聖人の申状を添付して提出した申状が一通。
【一、漢土の仏法先づ以て沙汰〔さた〕の次第之を図す一通。】
一、中国における仏法について、その順序を示した図一通。
【一、本朝〔ほんちょう〕の仏法先づ以て御沙汰の次第之を図す一通。】
一、日本における仏法について、その順序を示した図一通。
【一、三時弘経の次第】
一、正法、像法、末法の三時における弘経の順序、
【並びに本門寺を建つべき事。】
ならびに本門寺を建立すべきことについて述べたもの。
【一、先師の書釈〔しょしゃく〕要文一通。】
一、先師、日蓮大聖人の書と釈の要文一通。
【追加八箇条】
追加八箇条
【条近年以来日興所立の義を盗み取り己が義と為す輩出来する由緒条々の事。】
近頃、以降、日興の主張を盗み取り、自分の主張とする者がいる経緯についての事。
【一、寂仙坊日澄〔じゃくせんぼう・にっちょう〕始めて盗み取って】
一、寂仙坊・日澄〔じゃくせんぼう・にっちょう〕が始めて盗み取って
【己義と為す、彼の日澄は民部阿闍梨の弟子なり、】
自分の義とした。この日澄は、民部・阿闍梨・日向〔にこう〕の弟子であり、
【仍って甲斐国下山〔しもやま〕郷の地頭左衛門四郎光長は聖人の】
甲斐国、下山〔しもやま〕郷の地頭である左衛門四郎光長は、日蓮大聖人の
【御弟子、遷化の後民部阿闍梨を師と為す(帰依僧なり。)】
弟子であったが、大聖人が遷化の後、民部・阿闍梨を師と為した。(帰依僧なり。)
【而るに去ぬる永仁〔えいにん〕年中新堂を造立〔ぞうりゅう〕し】
その後に地頭の光長が永仁〔えいにん〕年間に新しい堂宇を造立〔ぞうりゅう〕し、
【一体仏を安置するの刻〔きざ〕み、日興が許〔もと〕に来臨〔らいりん〕して】
一体仏を安置したときに日興のもとに来て、それが謗法ではないかと述べて
【所立〔しょりゅう〕の義を難ず。聞き已〔お〕はって自義と為し候処に、】
その理由を日興から聞いて、聞き終わって、それを自分の主張としたのです。
【正安〔しょうあん〕二年民部阿闍梨彼の新堂並びに一体仏を】
正安〔しょうあん〕二年に民部・阿闍梨は、その新しい堂宇と一体仏を
【開眼〔かいげん〕供養す。爰〔ここ〕に日澄本師民部阿闍梨と】
開眼〔かいげん〕供養すしたので、ここに日澄は、本師である民部・阿闍梨と
【永く義絶せしめ、日興に帰伏〔きぶく〕して弟子と為る。此の仁〔ひと〕】
永く断絶して、日興に謝罪して弟子となったのです。この人は、このように
【盗み取って自義と為すと雖も後〔のち〕改悔帰伏の者なり。】
日興の主張を一時、盗んだのですが、その後、日興に主張に立ち返った者です。
【一、去ぬる永仁年中越後国に摩訶一〔まかいち〕と云ふ者有り】
一、永仁年間に越後国〔えちごのくに〕に摩訶一〔まかいち〕と言う者がいました。
【(天台宗学匠なり。)】
(天台宗の学匠なり。)
【日興が義を盗み取って盛んに越後国に弘通するの由之を聞く。】
日興の主張を盗み取って、盛んに越後国で弘通していると聞いています。
【一、去ぬる正安年中以来浄法房天目〔じょうほうぼう・てんもく〕と云ふ者有り】
一、正安年間以降に浄法房・天目〔じょうほうぼう・てんもく〕と言う者がいて、
【(聖人に値ひ奉る。)日興が義を盗み取って鎌倉に於て之を弘通す。】
(聖人に値ひ奉る。)日興の主張を盗み取って、鎌倉で、これを弘通しています。
【(又祖師を蔑如して添加する義も之有り。)】
(また、日蓮大聖人を軽んじて自分の意見を付け加え、それを主張しています。)
【一、弁阿闍梨の弟子帥房日高〔そつぼう・にちこう〕去ぬる】
一、弁阿闍梨・日昭の弟子の帥房日高〔そつぼう・にちこう〕は、
【嘉元〔かげん〕年中以来日興が義を盗み取って】
嘉元〔かげん〕年間、以降、日興の主張を盗み取って、
【下総国〔しもうさのくに〕に於て盛んに弘通す。】
下総国〔しもうさのくに〕において、盛んに弘通をしています。
【一、伊予阿闍梨の下総国真間〔まま〕の堂は一体仏なり。】
一、伊予阿闍梨・日頂の下総国、真間〔まま〕の堂は、一体仏なのです。
【而るに去ぬる年月、日興が義を盗み取って四脇士〔きょうじ〕を造り】
しかし、去ぬる年月、日興の主張を盗み取って、四菩薩を脇士として造り、
【副〔そ〕ふ、彼の菩薩の像は宝冠形〔ほうかんぎょう〕なり。】
それに副〔そ〕えたのです。この菩薩像は、宝冠形〔ほうかんぎょう〕なのです。
【一、民部阿闍梨同じく四脇士を造り副ふ、】
一、民部阿闍梨・日向も同じく、四菩薩の脇士を造って副えたのです。
【彼の菩薩像は比丘形にして衲衣〔のうえ〕を著す、】
この菩薩像は、僧の形にして、布切れを繕った納衣〔のうえ〕を著わしています。
【又近年以来諸神に詣〔もう〕づる事を留〔とど〕むるの由聞くなり。】
また、近年以降、諸神社に参詣する事を止めていると聞いています。
【一、甲斐国に肥前房日伝〔ひぜんぼう・にちでん〕と云ふ者有り】
一、甲斐国に肥前房・日伝〔ひぜんぼう・にちでん〕と言う者がいます。
【(寂日房の向背の弟子なり。)日興が義を盗み取って】
(寂日房の向背の弟子です。)日興の主張を盗み取って
【甲斐国に於て盛んに此の義を弘通す云云。】
甲斐国において盛んに、この主張を弘通していると言います。
【是又四脇士を造り副ふ、彼の菩薩の像は】
これもまた、四菩薩の脇士を造り副えて、この菩薩の像は、
【身皆金色〔こんじき〕剃髪〔ていはつ〕の比丘形なり、】
身がすべて金色〔こんじき〕で髪を剃った僧の形なのです。
【又神詣でを留むる由之を聞く。】
また、諸神社に参詣する事を止めていると聞いています。
【一、諸方に聖人の御書之を読む由の事。】
一、諸方に日蓮大聖人の御書を読む理由についての事。
【此の書札の抄、】
本抄は、あくまでも、記憶を留めておく為の覚え書きであり、
【別状に有り之を見るべし。】
これを記〔しる〕した別の書状があるので、それを見てください。