日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


富士一跡門徒存知事 第三章 本尊の事


【本尊の事。(四箇条)】
本尊の事(四箇条)

【一、五人一同に云はく、本尊に於ては釈迦如来を】
一、六老僧の内の五人一同の主張は、本尊については、大聖人も釈迦如来を

【崇〔あが〕め奉るべしとて既に立てたり、随って弟子檀那等の中にも】
崇〔あが〕めるべきであると言われ、自らも釈迦仏を立てられ、弟子、信者などにも

【造立供養の御書之在り云云。】
釈迦牟尼仏の造立、供養について述べられた御書があります。

【而る間盛んに堂舎を造りて、或は】
そのような言い分のもと、五人は、盛んに釈迦如来を安置する堂宇を造ったり、

【一体を安置し、或は普賢〔ふげん〕文殊〔もんじゅ〕を脇士〔きょうじ〕とす。】
釈迦如来の一体仏を安置したり、あるいは、普賢菩薩、文殊菩薩を脇士としたりし、

【仍って聖人御筆の本尊に於ては彼の仏像の後面に懸け奉り、】
大聖人御筆の曼荼羅本尊については、その釈迦如来の仏像の後ろにかけたり、

【又堂舎の廊〔ほそどの〕に之を捨て置く。】
また、堂宇の廊下に捨て置いているのが実情なのです。

【日興が云はく、聖人御立ての法門に於ては】
それに日興一人の主張は、日蓮大聖人が立てられた法門においては、

【全く絵像木像の仏菩薩を以て本尊と為さず、唯〔ただ〕御書の意に任せて】
全く絵像や木像の仏、菩薩を本尊とはせず、ただ、御書の本意通りに

【妙法蓮華経の五字を以て本尊と為すべし、即ち自筆の本尊是なり。】
妙法蓮華経の五字を本尊とすべきであり、日蓮大聖人自筆の本尊がこれなのです。

【一、上の如く一同に此の本尊を忽諸〔こっしょ〕し奉るの間、】
一、六老僧の内の五人一同は、このように本尊を疎〔おろそ〕かにしているので、

【或は曼荼羅なりと云ひて死人を覆ふて葬〔ほうむ〕る輩も有り、】
曼荼羅で死体を包んで葬〔ほうむ〕る者さえおり、

【或は又沽却〔こきゃく〕する族〔やから〕も有り。此くの如く】
あるいは、本尊を売却する者もいるのです。六老僧の内の五人がこのように

【軽賎〔きょうせん〕する間多分は以て失せ畢んぬ。】
本尊を軽んじ賤〔いや〕しんで扱ったので、多くの本尊が失われてしまったのです。

【日興が云はく、此の御筆の御本尊は是〔これ〕一閻浮提に】
それに日興一人の主張は、日蓮大聖人自筆の本尊は、いまだ一閻浮提に

【未だ流布せず、正像末に未だ弘通せざる本尊なり。】
未だ流布しておらず、正法、像法、末法の三時に未だ弘通していない本尊なのです。

【然れば則ち日興門徒の所持の輩に於ては、】
従って日興の門流で日蓮大聖人自筆の本尊を所持している者は、

【左右無く子孫等にも譲り弟子等にも付嘱すべからず。】
軽々しく子孫に譲〔ゆず〕ったり、弟子などにも与えてはならないのです。

【同一所に安置し奉り、六人一同に守護し奉るべし。】
日蓮大聖人自筆の本尊は、一ヵ所に安置し、日興の弟子、六人が守護すべきであり、

【是偏〔ひとえ〕に広宣流布の時、本化国王御尋ね有らん期〔とき〕まで】
ひとえに広宣流布の時に国主が尋ねてくる時まで、

【深く敬重し奉るべし。】
深く敬い、尊重し奉〔たてまつ〕るべきなのです。

【一、日興弟子分の本尊に於ては一々皆書き付け奉る事、】
一、日興の弟子に授与した本尊については、それぞれに授与した者の名を書き付け、

【誠に凡筆を以て直に聖筆を黷〔けが〕す事】
その名を凡夫の筆で書き入れたことは、誠に日蓮大聖人の尊い筆を汚すものであり、

【最も其の恐れ有りと雖も、或は親には強盛〔ごうじょう〕の信心を以て】
最も恐れ多いことですが、強盛の信心によって親には、

【之を賜ふと雖も子孫等之を捨て、】
本尊を賜〔たまわ〕ったけれども、子孫たちが、その本尊を捨てたり、

【或は師には常随給仕の功に酬〔むく〕いて之を授与すと雖も】
あるいは、日蓮大聖人に常随給仕した功績によって本尊を授与されたとしても、

【弟子等之を捨つ。】
その弟子たちが本尊を捨てたりしているのです。

【之に依って或は以て交易〔こうえき〕し、或は以て他の為に盗まる。】
このように本尊を人に売ったり、他人に盗まれたりした例が数多くあったのです。

【此くの如きの類〔たぐい〕其の数多きなり。】
その故に日蓮大聖人から、本尊を授与された当事者の名を書きつけたのであり、

【故に賜はる所の本主の交名〔こうみょう〕を書き付くるは後代の高名の為なり。】
これは、後世に授与された人の名前を残し留め、顕彰する為なのです。

【一、御筆の本尊を以て形木〔かたぎ〕に彫〔きざ〕み、不信の輩に授与して】
一、大聖人自筆の本尊を形木に彫って、不信の者に授与し、

【軽賤する由〔よし〕諸方に其の聞こえ有り、所謂〔いわゆる〕日向・日頂・】
本尊を軽んじ賤〔いや〕しむ事が方々から聞こえてきます。いわゆる、日向、日頂、

【日春等なり。日興の弟子分に於ては、在家出家の中に或は身命を捨て】
日春などです。日興の弟子においては、在家・出家を問わず、あるいは、命を捨て、

【或は疵〔きず〕を被り若しは又在所を追ひ放たれて、一分信心の有る輩に、】
あるいは、傷を受け、追放されたりした特に信心がある門弟に対して、

【忝〔かたじけな〕くも書写し奉り之を授与する者なり。】
恐れ多くも日興自身が本尊を書写し奉り、これを授与するのです。

【本尊人数等、又追放人等、頸切られ死を致す人等。】
日興が本尊を授与した人数は、追放された人や首を切られ殉死した人などです。

【一、本門寺を建つべき在所の事。】
一、本門寺を建立すべき所のこと。

【彼の天台・伝教は在生〔ざいしょう〕に】
一、六老僧の内の五人一同が主張するには、天台大師、伝教大師は、

【之を用ひらるゝの間、直ちに寺塔を立てたまふ、】
存命中に法門が用いられたので、直ちに寺院を建立された。

【所謂大唐の天台山、本朝の比叡山是〔これ〕なり。而るに此の本門寺に於ては、】
中国の天台山、日本の比叡山がこれです。しかし、本門寺の場所については、

【先師何〔いず〕れの国何れの所とも之を定め置かれず。】
日蓮大聖人は、いずれの国、いずれの場所であるとも、決まられていません。

【爰〔ここ〕に日興云はく、凡〔およ〕そ勝地を撰んで伽藍〔がらん〕を】
そこで日興は、およそ景勝の地を選んで寺院を

【建立〔こんりゅう〕するは仏法の通例なり。然れば駿河富士山は】
建立するのが仏教の通例であり、従って駿河国〔するがのくに〕の富士山こそ、

【是日本第一の名山なり、最も此の砌〔みぎり〕に於て本門寺を】
日本第一の名山であるから、この場所に本門寺を

【建立すべき由〔よし〕奏聞し畢んぬ。】
建立すべきであることを奏上したのです。

【仍って広宣流布の時至り国王此の法門を用ひらるゝの時は、】
よって広宣流布の時、国主がこの日蓮大聖人の法門を用いられるようになった時は、

【必ず富士山に立てらるべきなり。】
必ず、富士山に本門寺を建立されるべきなのです。

【一、王城の事。】
一、王城のこと。

【右王城に於ては殊〔こと〕に勝地を撰ぶべきなり。就中〔なかんずく〕】
ちなみに帝王の住む城は、とりわけ景勝の地を選ぶべきなのです。特に

【仏法と王法と本源体一なり。居処〔こしょ〕随って相離るべからざるか。】
仏法と王法は、その根源は一体であるので、その場所も離れるべきではありません。

【仍って南都の七大寺・北京〔ほっきょう〕の比叡山、】
従って、平城京の奈良の七大寺、平安京の京都の比叡山は、

【先蹤〔せんしょう〕之〔これ〕同じ後代改まらず。】
その先例であり、後世も、この原理が改まることはないのです。

【然れば駿河国富士山は広博〔こうばく〕の地なり。】
そうであれば、駿河の国の富士山は、広々とした地域であり、

【一には扶桑国〔ふそうこく〕なり、】
一には、日本が扶桑国〔ふそうこく〕だからなのです。

【二には四神相応〔しじん・そうおう〕の勝地なり。】
二には、四神相応〔しじん・そうおう〕の優れた土地であるからなのです。

【尤〔もっと〕も本門寺と王城と一所なるべき由、且〔か〕つは往古〔おうこ〕の】
本門寺と王城とが、同一の場所であるべきことは、過去の

【佳例〔かれい〕なり、且つは日蓮大聖の本願を祈る所なり云云。】
良き例があり、日蓮大聖人の法華弘通の本願を祈る場所なのです。

【日興集むる所の証文の事。】
日興が収集したところの証文の事。

【御書の中に引用せらるゝ若しは経論書釈の文、】
日蓮大聖人が御書の中に引用されている経文、論文、解釈書の文章など、

【若しは内外典籍の伝文等、】
または、内道、外道の書物や伝承の文書などは、

【或は大綱随義転用し、】
日蓮大聖人は、大事な部分を取って、その内容によって文章を転用され、

【或は粗意を取って述用し給へり。之に依って】
あるいは、ほぼ、主旨のみを取って述べ用いられているのです。この事から、

【日興散引の諸文典籍等を集めて次第証拠を勘校す、】
日興は、種々、引用された文章、書物を集めて、順次証拠を照合しているのですが、

【其の功〔こう〕未だ終はらず、且〔しばら〕く集むる所なり。】
その作業は、末だ終わっておらず、収録の途中の段階にあるのです。

【一、内外論の要文(上下二巻)開目抄の】
一、内道、外道と論からの要文(上下二巻)これは、日蓮大聖人の開目抄の

【意に依って之を撰ぶ。】
意図に従って選んだものです。

【一、本迹〔ほんじゃく〕弘経〔ぐきょう〕要文(上中下三巻)撰時抄の意に】
一、本門と迹門の弘経についての要文(上中下三巻)これは、撰時抄の

【依って之を撰ぶ。】
意図に従って選んだものです。

【一、漢土の天台妙楽、邪法を対治して】
一、中国の天台大師や妙楽大師が南三北七の邪法を破折して

【正法を弘通したまふ証文一巻。】
正法を弘通した事を示す証文を一巻。

【一、日本の伝教大師、南都の邪宗を破失して】
一、日本の伝教大師が南都六宗の邪宗を破折して

【法華の正法を弘通したまふ証文一巻。】
法華経の正法を弘通したことを示す証文一巻。

【已上七巻之を集めて未だ再治〔さいじ〕せず。】
以上の七巻を集めたが、未だ内容を調べ直すには至っていません。



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